人生を賭けた敗者復活戦!!30代後半から挑むエンジニアまでの道-転職活動編5-【エンジニア求人、初の面接へ】
初めてのエンジニア面接に動揺する
あー彼女欲しい。
でも本命のあの子は高嶺の花。
イケメンでもない、金持ちでもない、身長が高いわけでもない俺に残された取り柄は「面白い」ってだけなのに、今の俺じゃ簡単な会話だって続けられない。
もっと場数を踏まなくちゃな。
そうだ、この子。
たまたま隣に座ってるだけだけど、ご飯でも誘ってみようかな。
どうせすぐに断られるだろうけど、別にどうって事ないし、こういうのは場馴れしていかないとな。
「ねぇ、このあと暇?よかったらご飯でもどう?」
「ん?いいよ」
え、いいの?どーすんの俺!?
的な展開になり、焦り散らかした私。
しかしオージーはそんな私を見透かしたかのように、私のSOSを受けてすぐに返事をくれました。
「面接では自分をよく見せようとか考えなくて大丈夫です。書類を通過した時点で最低限のラインはクリアしたという事ですから自信を持ってください」
(ふむふむ)
「面接はあくまでお互いのマッチングを見極める場なので、自分の話をしっかりしてお相手の話をしっかり聞いてください。そしてできれば自分の知りたい情報を聞き出してみて下さい」
(なるほど。つまり諜報活動ですね?)
オージー長官の言葉(指示)に冷静さを取り戻した私は、来たる面接に向けて入念に準備を始めました。
そして面接当日。
その日はものすごくいい天気で、準備の甲斐あってか特に緊張せず臨む事ができました。
面接自体は好感触。でも正直ないなと思った
面接官は30歳前後の男性2人で、ものすごく感じのいい人達でした。
簡単な自己紹介と会社の説明から始まり、「退職の理由はなんですか?」(←出た)や「どうして理学療法士からエンジニアを目指そうと思ったのですか?」といった質問が続きました。
もちろんこの流れに関しては事前に予想できたので、用意していた回答を和歌を詠むかのごとくサラサラと答えました。
例えばこちらが「◯◯というドラマを観た事がありますか?」と投げかけた時、「はい」という回答だけで終わらせる人と、「観た事ありますよ。私は第3話が好きでした」と、回答+αで返してくる人がいますよね?
前者とのコミュニケーションを広げるのはちょっと難しいですが、後者はおそらく他人と話す事に抵抗が少ない人だと予想できるので、会話のキャッチボールが期待できます。
この時の面接官はと言うとガッツリ後者のタイプだったので、話は弾み、最後の方は特にこちらが聞かずとも会社や仕事についてたくさん話してくれました。
こうして面接は終始和やかな雰囲気で無事終了し、私はまっすぐ帰る事なく近くのゲームセンターに行きました。
クレーンゲームでお菓子(カルシュー)を狙いながら、やり切ったいう達成感と安堵感を味わいつつ、(でも私の方もここはないと思ったし、向こうもきっと私はないって思っただろうなぁ)と振り返りました。
ミスマッチは見過ごせない
なぜ私が(この会社はないな)と思ったのか。
その主な理由としては以下になります。
①データベース管理ソフトを使って作業をしている。このソフトは特にプログラミング言語の取得が必要とされず、初心者でもとっつき易いものらしい。
↑これではテックキャンプで学んだ事を全く活かせないし、更にこれからプログラミングのスキルを上げていきたいと考えている私には魅力的に映らなかった。
②年収は理学療法士で働いている方が遥かにいいと言われた。
↑もはや今回の転職の目的から大きく逸れるので、全く意味がない。向こうも「年収アップかぁ…」と、お金の話題にはめちゃくちゃ引っ掛かりを見せていた。頭の中でオージーを3回血祭りにあげた。
③会社内に部署がたくさんあり、エンジニアは人数が少ないので社内での立場が弱い。一番人数が多く力の強い営業部の「それって不公平じゃね?」というひと言から、コロナ禍でもリモートワークは許されず、原則出社との事。
↑それを「不公平だ」という営業部のレベルの低さもそうだし、こういう他部署同士が睨みをきかせているような関係性があまり好きではないので、いい印象を受けなかった。
④本社は都市部にある。社長の誕生日には盛大にお祝いをするので、わざわざ行って祝辞を述べなくてはいけない。
↑もうね、笑止よ、笑止!!私理学療法士で低所得を自覚しているんです。だから意を決してこの歳でエンジニアに転職しようと考えてるんです。その理学療法士以下の月給しか社員に払えないのに誕生日に出向いてお祝いの言葉を言えだって?来て欲しけりゃバースデーパーリィにアダム・レヴィーンクラスのゲスト呼べや!
クレーンゲームでゲットしたカルシューと共に帰宅した私は、すぐさまSlackを開き、興奮冷めやらぬ内に事の詳細をオージーに報告しました。
オージーからも「ちょっとそれは無いですね…」といった返事が返ってきました。
(ちなみに「社長の誕生日の事まで聞き出すなんてすごいですね!」とも言っていました)
しょ〜じきに白状しますと、きっかけは単なるキープとしての応募だったとしても、もしかしたらこれが運命的な出逢いになって、あわよくば転職成功!ブラックな職場ともおさらば!!めでたしめでたし!!!って事になるんじゃないかなと、少しは期待しました。
なので全く的外れだった事に関してはちょっと落胆しました。
ふてくされながらいそいそとスーツを片付けていると、着信がありました。
武将からでした。
「もしもしまつかぜさんですか?例の会社さんですが、ダメでした」
「え…!?」
この時の私はなぜかこの電話は新しい求人の案内だろうと勝手に思い込んでいました。
なので完全に不意をつかれた形で『失恋』を通告され、かなり動揺してしまいました。
「学習経験ではなく、やはり1年は実務経験が欲しいとの事で…。お力になれずすみません」
申し訳なさそうに話す武将に対し「いえいえ、こちらこそ。無理をさせてしまってすみませんでした」と言うのが精一杯で、お互い言葉少なに電話を切りました。
そして翌日。
予想通りお祈りメールが届き、エンジニア志望者として初めて臨んだ面接は不採用という結果に終わりました。