人生を賭けた敗者復活戦!!30代後半から挑むエンジニアまでの道-転職活動編11-【絶望の深淵から復活】
心の回復を待って…
IT、プログラミング、求人検索…。
オージーに転職活動の休止を申し出てからは転職活動を思わせるものからなるべく距離を置き、私はボロボロになった心の回復に努めました。
大好きなクレーンゲームをしたり(ヘタクソなのですぐにお金が溶けますが)、YouTubeやプライムビデオを観たり、ネットで買い物をしたり、家族で出掛けたり。
心に負担がかからないよう好きな事だけをし、とにかく自分を徹底的に甘やかしながら穏やかな日々を過ごしていました。
この療養期間のおかげで落ち込んだ気持ちは少しずつ回復し、再び転職活動に対して正面から向き合えるようになった私は、徐々に求人検索を再開しました。
そしてGreenで求人を探していた時、地元のソフトウェア開発会社の求人票が目に留まりました。
募集職種は採用担当者、つまり人事でしたが、この会社はGPTWという調査機関が発表している、日本における「働きがいのある会社」ランキングの常連との事でした。
失礼ですが、働きがいのある会社ランキングなんてちょっと怪しい(笑)
なぜならこのランキングに入賞する事自体が目的になってしまっている会社だって中にはあると思うので、(本当のところはどうなの?)と、どうしてもうがった見方をしてしまうからです。
(※あくまで個人の意見です)
それに私には物凄ーーーーく評判のいいと言われている会社からフルシカトを喰らった過去があります。
(※詳しくはこちら)
なので余計に信用できません。
(※あくまで個人の意見です)
あーだこーだと難癖をつけては応募を躊躇う私。
とうとう自分ひとりで考えてもらちがあかないと悟り、久しぶりに彼と連絡を取ってみる事にしました。
そう!
私の頼れるキャリアアドバイザー、オージーです。
オージー久しぶり!!
予めSlackで求人情報を共有していたので、面談が始まると早速オージーが「あくまで僕の考えですが、前向きに検討してもいいと思いました」と切り出しました。
オージーはまず、
「求人票には『柔軟なキャリアプランが目指せる』、『キャリア変更も可能』みたいな事が書かれていましたよね?なので入り口は採用担当者かも知れませんが、社内転職という形でエンジニアへの道も拓けるかも知れません」
と言いました。
そして、
「おまけにこの年収はまつかぜさんのステップアップの第一段階である400万の壁を超えていますよね?それにまつかぜさんの地元の給与水準からしたら、結構出してくれてると思うんですが」
と言った後、
「あくまで求人票を見る限りですが、非の打ち所がないと思います。今までの事があるのでひるむ気持ちもわかりますが、仮に面接になっても『こっちだって見極めてやる!!』くらいの気持ちで行けばいいですよ。例え不採用であってもそれは単なるミスマッチであって、まつかぜさんにはなんの落ち度もありません。縁がなかっただけです。なので僕としてはGoでいいと思うんですが、どうでしょうか?」
という風にまとめてきました。
(おぉ〜)
こうしてオージーに背中を押してもらう形で気持ちが固まった私は、面談後すぐこのソフトウェア開発会社に応募しました。
『働きがいのある会社』に面接に行く
季節としては晩秋の頃。
私は例のソフトウェア開発会社の応接室にいました。
そしてテーブルを挟んだ目の前には面接官の男性Yさんが座っていました。
Yさんは見た目は非常に爽やかな好青年といった感じで、自己紹介の際に「現在は取締役として採用関連の業務をやっているが、もともとはエンジニア出身」という事と、「年齢的には私と同年代」という事を話していました。
(私と同年代で取締役って。泣いていいですか?)
自己紹介の後、履歴書に目を通したYさんは「テックキャンプ?知らないなぁ」と言い、「まつかぜさん理学療法士なんでしょ?なんでエンジニアに転職したいのか聞かせてよ」と早速質問を投げかけてきました。
私は理学療法士のままでは年収アップが見込めないという事実に始まり、これまでの経緯をひと通り説明しました。
するとそれを聞いたYさんは口元にうっすらと笑みを浮かべながら「ま、要するに金が欲しいってわけね」と言いました。
いやね、端的に言えばそうですよ!
お金欲しいです!!
でもこの場で「はいそうです!」と言うのはさすがにはばかられたので、私は否定も肯定もせずただただ笑ってごまかしました。
するとYさん。
今度は「IT業界に転職したいって言ってるけど、そもそもまつかぜさん医療とか介護業界の人でしょ?エンジニアがどんな働き方してるか知ってるの?」と言い出し、後ろに設置されていたホワイトボードを使って自社開発、受託開発、SES(人材派遣)について説明を始めました。
(もちろん知ってます)
そして説明の最後に「てか転職活動さ、ぶっちゃけどんな感じなの?」と単刀直入に切り込んできました。
私はこの年齢で未経験可という求人はほとんどがSESである事、SESは案件ガチャが怖く、なかには2年間エクセルだけをやられたという体験談もあったので、応募に躊躇してしまう事を正直に伝えました。
するとYさんは再び口元にうっすら笑みを浮かべると、「そんなの当たり前じゃん。だって最初の1、2年なんか全く使い物にならないんだから、エクセルでもさせとくかってなるのは仕方ないでしょうよ」と言いました。
そして返答に戸惑う私に向かって突然、「まつかぜさんさ、さっきからエンジニア、エンジニアって言ってるけど、いい事教えてあげるよ」と切り出し、こう言いました。
「結局さ、働く人間にとって一番大切なのは何の仕事をするかじゃない。どんな会社で働くかだよ。どんな会社に入るかでその人の運命が決まる。だから僕はね、なんでまつかぜさんがそんなにエンジニアにこだわるのか正直わからない。さっき近い将来エンジニアは人材不足に陥る、だから需要のある職種だって言ったよね?だからなりたいんだって。でもこれだって一方では事実だけど、一方では完全に嘘だからね!」
さらにYさんは、
「僕はエンジニアなんか嫌だし、おすすめしない!僕には子供がいるけど、もし子供がエンジニアになりたいって言ったら絶対に止めるよ!!」
と、非常に強い語気で言い放ちました。
面接の緊張とYさんの圧で固まる私。
それでも頭の中は冷静だったので、私は今の状況を少し俯瞰して見る事にしました。
ソフトウェア開発会社の応接室で面接が行われている。
そこにはエンジニア出身だけどエンジニアという職種をものすごく毛嫌いする面接官Yさんと、30代後半で異職種からわざわざエンジニアに転職しようとしている応募者の私がいる。
そんなYさんからエンジニアという職種を全否定される。
え?絶望??
ここまで面接が始まってまだ十数分間の出来事でしたが、私の目の前にはすでに『敗戦』という結果が色濃く現れ始めていました。