人生を賭けた敗者復活戦!!30代後半から挑むエンジニアまでの道-転職活動編2-【不採用からの作戦会議】
本格的に無理ゲーが始まる
不採用だった事をSlackでオージーに伝えた数日後、面談がありました。
オージーは思い切りがいいというか、物事に対して妙に開き直っているところがありますが、非常に頭の回転がよく、とても優しい人物でした。
なので絶対に私に気を使って、下手すれば面談はお通夜のようになってしまうかもしれないと考えた私は、面談が始まって開口一番、「いやぁダメでした〜!」と、明るく挨拶しました。
それを見たオージーの顔からは緊張が消え、「いやぁもうなんなんだよって感じですよね〜。オリジナルアプリとか、ちゃんと見てないんですかね」と、悔しそうに言っていました。
私はテックキャンプを卒業する前に保育園の連絡帳アプリを制作し、卒業後にもう一つオリジナルアプリを制作しました。
エンジニアの転職活動ではポートフォリオといって自身が制作した作品の提出が必須ですが、私はこの2つの作品をポートフォリオとして履歴書に記載していました。
ただviewを作り込む技術がなく、どうしても見た目が殺風景な仕上がりになってしまったのですが、オージーはこのアプリを非常に高く評価してくれていました。
またテックキャンプは企業との特別なパイプがあるという訳ではなく、求人の紹介はほとんどありません。
なので転職サポートとはいっても応募書類の添削や面接対策などといった、あくまで間接的な支援しか受けられません。
「次どうしたらいいですかねー。毎日求人サイトは見ています。なんならもう記憶してしまいそうなくらい見ています。でもなかなか応募できる求人がないんですよねー」
私はこんな本音を漏らしました。
私の転職活動における問題点は、『勤務地(超田舎でそもそも求人数が少ない)』、『年齢』、『実務未経験である事』の3つでした。
あ、いいなと思っても『29歳以下(長期キャリア形成のため)』だったり、未経験に絞って検索しているのに『実務経験1年以上』と書いてあったり、全てクリアしてると思ったら『全国転勤可能な方のみ』だったり。
私は一体どんなトレジャーハントをしているんだろうと突っ込みたくなるほど、空振り続きの毎日でした。
オージーの提案
そんな私にオージーは「まつかぜさん、wantedlyって知ってますか?」と切り出しました。
「知りません。なんなら聞いた事すらありません」
おそらくこんな返事を予想していたのでしょう。
オージーは待ってましたとばかりに明るく言いました。
「ならこれを機にwantedlyに登録しましょう!」
オージーいわく、wantedlyは求人者と求職者のマッチングを行うビジネスSNSで、自分の経歴や希望職種、条件などを記載したページを作り、それを見た企業側から連絡がきたり自分から企業の方に連絡したりできるサービスとの事でした。
この説明を聞いた私は、(なんて画期的なシステムなんだ!こりゃ展開も早くなるに違いない!!)と一気に色めき立ちました。
早速wantedlyにアカウント登録し、オージーのアドバイスに従ってプロフィールを作り始めました。
そして完成まであと少しという頃になると、オージーが「これで大まかな枠組みはできました。あとは必要に応じて手を加えていって下さい。わからない事があったらSlackで何でも聞いて下さい」と言い、「もう一つ、まつかぜさんに提案があります」と言いました。
転職エージェントもサジを投げた!?
「なんでしょうか?」
「転職エージェントを使ってみませんか?」
「え〜!!!」
オージーのこの言葉に私はめちゃくちゃ渋い顔をしました。
「どうかされましたか?」
「いやね、◯◯君(オージーの本名)。転職エージェントってのは、例えば私だったら理学療法士から理学療法士に転職しようとしている時に、もう少しお金が欲しいからとか、子供が小さいからできれば時短勤務にして欲しいとか、応募先との間に立って交渉して頂戴的な感じで利用するんじゃないのかな?」
「そうだと思いますけど、それがどうかしたんですか?」
「ならエージェントさんとしても困るんじゃないのかな?だってこの年齢で全く別の職種に転職しようとしてるのを手伝えって言ってるんだから!そんな無理難題、申し訳なくて到底言えませんがね」
せっかくの提案に対して異を唱えるのが申し訳なく少し芝居がかった口調になってしまいましたが、言っている事自体は紛れもなく私の本音でした。
しかしそんな私の意見をオージーは「何言ってるんですか!」と言って一蹴しました。
「いいですか、まつかぜさん。厳しい事を言いますが、20代の方が数十社に応募しても面接まで進めるのは数社、内定はゼロなんて事はザラにあるんです。我々は応募する会社の数を稼げない分、使えるものは徹底的に使うべきだと僕は思います!!だって可能性はどこに隠れているかわからないんですよ!?」
(え?そうなの!?てか日本大丈夫!?)
オージーは日本の現状をにわかに案じ始めた私をまっすぐ見据え、力強く言い放ちました。
ここまでスパッと言い切られてしまっては、もはや反論する余地はありません。
私はオージーの提案を受け入れ、大手転職エージェント3社に登録しました。
そのうち2社からは「ご希望に沿う求人がないため、申し訳ありませんがサービスを提供できません」といった旨のお断りメールが来ました。
(ほうらやっぱり)と思いつつ内心少しばかり拗ねていると、最後の1社から「登録ありがとうございます。それでは早速まつかぜさんのご希望を伺いたいので、まずはお電話にて面談をしたいと思います。ご希望の日時がありましたらご連絡ください」という前向きなメールが来ました。
正直転職エージェントにはさほど期待していませんでした。
それでも3社全てから見放されたら精神的ダメージはデカいなと思っていたので、このメールを見た時は正直ホッとしましたし、思わず「ありがとう…」と呟いていました。